糖尿病についての質問
Q1.初めて糖尿病と言われました…
初めて糖尿病と診断されて多くの方が戸惑われることと思います。
「自分がまさか・・・」「どういうこと!?」「一生おいしい物が食べられない?」等々。
まずは気持ちの整理がつけられるまでが大変です。
そして本当の最後の最後には、皆さんが「人生の目標」を達成されるために
糖尿病とどう上手く付き合っていくかを考えられるようになれば良いと思います。
受診する医療機関によっては、糖尿病が悪くなってから
糖尿病専門医に紹介すれば良いと言われることがあるかも知れませんが、
糖尿病は発症して数年間のコントロール状態が
「その後に出てくる合併症状態」を規定してしまいます。
ですから、そうしたことも含めて最初に診断された際に
どれだけ正しい情報を収集するかがとても大事なことの一つです。
Q2.そもそも糖尿病は何が問題なのですか?
尿に糖が出ることをイメージさせる「糖尿病」という名称自体が
望ましくないことが長年言われ続けています。
血糖が正常以上に高くなることで、ほぼあらゆる部位といってよい程に
全身の臓器にダメージを与えてしまうことです。
Q3.糖尿病は治る病気ですか?
まれに「発症ごく早期の限られた場合に治ることがあります」が、基本的には治りません。
ですので、血糖コントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が
正常になった場合には、糖尿病が治ったのではなく、
糖尿病のコントロールが良くなった状態と表現されます。
一方で、糖尿病の前段階である「糖尿病予備群」は、
生活習慣の工夫で治すことが可能です。
Q4.糖尿病予備群は何が問題ですか?
生活習慣を変更しないで放置していると、将来的に糖尿病に移行することです。
そしてもう一つの問題点は、予備群であることで、
血管が詰まる「動脈硬化の病気」が約2倍、起こり易くなるということです。
Q5.糖尿病を持つ私の知人は、私よりいつも多く食べたり飲酒するのに血糖コントロールが良い(HbA1cが低い)のはなぜですか。
糖尿病の人が100人いれば、
誰一人として同じ(原因や病態を持った)糖尿病を持っている人はいません。
ですので、ご自分に合った無理のない生活習慣を見つけていくことが大事です。
Q6.今は仕事が忙しく、定年退職してから糖尿病のコントロールを
頑張ろうと思いますが…
「糖尿病が始まってから7年間の血糖コントロール状態の良し悪し」が、
その後の「合併症の出やすさ」を決定してしまいます。
つまり、『覆水盆に返らず』ということです。
Q7.糖尿病のコントロールは、自覚症状がなければ大丈夫と
思ってよいのでしょうか?
血糖値が徐々に高くなると体もそれに徐々に慣れるため、
入院が必要な糖尿病状態でも全く自覚症状が出ないことが珍しくありません。
ですので、1カ月に1回の定期検査(HbA1cなど)はもちろん、
数カ月~1年に1回の合併症に関する検査で確認していくことが大事です。
Q8.炭水化物(米飯、パン、めん類、イモなど)は食べない方が
良いのでしょうか?
「糖尿病で食べてはいけない食品はない」ことが基本です。
ただし、安全な範囲で炭水化物を減らして(1日の糖質量130グラム以上が目安)
血糖を下げることは試してみても良いかと思います。
Q9.糖尿病の治療で飲み薬やインスリンを使うことは
なるべく避けた方が良いのでしょうか?
糖尿病の治療において最も避けなければならないことは、
「高いままのHbA1c(= 7.0%以上)を放置する」ことです。
ですから、薬を使うか否かは問題ではありません。
そのうえで、低血糖を起こさない様に、また太らない様に治療していくことが大事です。
Q10.飲み薬はいつから使うのでしょうか?
決まりはありません。
考え方としては、糖尿病にかかわる合併症が出ない、
あるいは進行しない様に、出来ればHbA1cが6%台までを
維持できる様に薬を使っていくことが理想です。
ただし、薬によって起こる低血糖や肥満を避ける必要があります。
また高齢者では血糖コントロールの基準が高目になります。